お客様から「見積もり」をくださいと依頼されることがある。
ちょうど一年ぐらい前、春の引越しシーズンで相見積もりというコラムがあった。大手3社の引越業者に相見積もりをすることになった。どこも同じような価格だったが、そのうちの1社は「皆んな同じような見積もり価格ですね」と伝えたらすぐに安い価格を提示してきた。ラッキーと思い頼もうと思ったが、最初にその安い価格を言ってこないことに不信感があると、妻の一言で候補から外れた。結局、最も高いが、サービス面で良さそうな他の業者に決めた。安い価格を提示した業者に断りの連絡を入れたら、電話越しにさらに「価格ですかね~?今決めてもらえればもう少し頑張れますよ」と言われた時に、「オイオイ」と思い、やめてよかったと思った。価格以外のサービスという部分も判断の理由になること。相見積もりは、本来、競争させて最も安い価格の業者を決めるために使うものだが、それだけではないこともある。価格はわかりやすいし、アピールする武器にはなるが、使い方次第では信頼を損なうこともある。安さだけが全てではないという内容だった。
これは引越しだけの問題ではなく、我々の商売にもいえることです。安さを武器にできない。良い物を安く、も力がなくてできない。あらためて、提供している商品のクオリティー以上のサービスやメンテナンスや、大切に使い続けてもらいたいという気持ちと行動の全てを評価されている。大切に使いたくなるモノを提供し、こわれたら直す。この当たり前をちゃんとやる。見積もり書の紙の数字だけではない、その店で働く人から感じられる何かが心を動かすことに繋がれば、見積もることにも意味がある。本当の損と得は、その人の価値観であり、生き方そのものじゃないのかなあ。