城丸正ブログ

宝物

2020.01.14

S.H.S長岡店は4度目の移転先が老舗の割烹旅館を再生し、どうにかこうにか今に至っています。

地元の方が一人でも多く利用していただくために、悩んだり苦しんだりしています。

そんな今までの20年以上の長岡での商売で嬉しかったことがあります。

それは長岡がロケ地だった映画、『この空の花』の映画監督 大林宣彦監督が、うちに来店されたことでした。

2014年8月1日、私はお会いすることができなかったので残念でしたが、スタッフは喜んでいました。奥様と一緒で、3階のレストラン、アーラゼータで食事をして買い物までしていただいた。

実は長岡市和島のトゥールモンドがオープンする前の年に、その校舎が撮影現場だった。このトゥールモンドさんはS.H.Sの家具を使っていただいており、勝手に『なんとなく繋がっている』なんて思っています。

それともう一つ、私は廃業した旅館、トゥールモンドさんは廃校になった校舎を再生し、地域の人達に利用していただいているということ。

この大林監督の話しで心を打ったのは、この長岡の花火は戦没者の追悼のためであって、決して商業イベントの花火ではないということ、だから8月1日が平日であろうが休日であろうが関係ないという。

商売上、これを上手く利用しない手はないと考えてやる人もいるだろうが、本当の長岡らしさは歴史上様々な苦難を乗り越えてきた人々の思いが、今も脈々と流れているのではないか。

だからこそ、私は敢えて歴史の町である、長岡だからこそ、古い建物や忘れ去られた場所に光を当てて再生することで、『らしさ』を表現したい。

私達は日常、気にも留めない見慣れたこと、聞き慣れたその場所にある物を、当たり前に捉え過ぎて価値を見出せないのではないか。当たり前だ、当然と思い、その存在に気付かない。ところが、反対に県外の人はいいねと言う。

自分達では気が付かない埋もれている『宝』がいっぱいあると思う。

我々の仕事はそこにスポットを当てる。新しく開発する近代的な物を否定はしないが、宝物はそこにはないと思っている。

歴史の町、長岡だからこそ、何を大切にしなければならないのか、色々な意見があると思うけど、宝は足元にあるのだけは間違いない。