俺がやったらきっとうまくいく、まだ誰もやっていない、だったら今だ。そう思って商売をスタートした。
しかし、大きくて似たような店が意外とあった。今みたいにネットでいろんなことを調べることができなかったこともあり、自分の勝手な思い込みと自分にとって都合の良い考えで判断してしまっていた。そして失敗の連続の中で10年、20年と続けて、カッコイイ店のカッコイイ経営者の真似をするようになった。さらにまた10年、店の移転を繰り返すごとに、売上をどう作るかだけに集中している自分に気付いた。他人から見たらいやらしいだろうし、人相もどんどん悪くなる。そして頭もハゲてくる。人が近づかなくなる。
そんな時期に、長岡で廃業した割烹旅館を再生して店をつくり、新潟では誰も見向きもしない鳥屋野潟の古い倉庫を改装して店をオープンした。これをやったおかげで仕事を通じて何を表現するかとかやることの価値とかを考えるようになった。もちろん、「金」儲けも大事だが、そんなにうまくはいかない。
「だったらそこにしかない価値をどうつくるかという仕事も大切なんじゃないのか」なんて考え始め、「価値創造」なんて叫んだらスタッフは「ふーん」という感じ。
何度も書いているが、町を元気にするためにとかにぎわいをつくるとか「地方創生」なんて叫ぶ必要はない。
小さな店や会社がやれるのは、自分たちの立っている場所を自由に企画し、編集し、わざわざ来てもらうには何をどうつくるか考えること。これが「価値創造」だと思っている。
さらに視点を変え、自分の店の品揃え、サービス、接客の質、その他を向上するだけでなく、領域を拡大し、地域の価値を生み出し、店と地域と町が今まで以上に注目され、寄ってみたい場所になり、ついつい買い物したくなる場所になっていく。最終的には住んでみたい場所になっていく。
こんな構想を練ってもいいじゃないか。リサイクルショップを始めたときは何も考えていなかった。やり続けてきたからこそ視点を変えることができたのかもしれない。
S.H.Sはこれからも変わっていくでしょう。