城丸正ブログ

本当は持続不可能なんだと思う。

2022.05.26

自分達の仕事のなかで、少しずつ増えている仕事がある。それは家具の修理と洋服直し。

まだまだ小さな売上だが、確実に手応えを感じる。人には、それぞれ「思い」というものがある。他人にはわからないこと、その人にとって使い続けたい、着続けたいという気持ち。

40年も商売をやっているので、30年以上前に買っていただいたソファの張り替えや、テーブルの塗装直し、他の家具屋で買った家具の修理と、様々な依頼を受ける。

家具修理も洋服直しも、出来上がった時あるいは届けた時、「ありがとう」と言っていただく時間が商品が売れた時以上にうれしい気持ちになる。

知り合いに、自動車修理を専門に何十年も続けている方がいる。外国、国産、旧車、直せるものは直してしまう。口こみで県外からも依頼が多く、非常に忙しい。結果として修理がメインなのに車が売れていく。さらに、修理工場という空間は、他が真似できないくらいキレイ、いや、アートだ。徹底して直すことにこだわったことで、「信頼と信用」が生まれ、どこよりもこだわった外車が売れていく。

自分の中にあった「直す」という漠然とした考え方が、さらに明確になった。ありがたい発見でもあった。リサイクルから始まって、今に至る。だから「ああだの、こうだの」という能書きは「屁」みたいなものだ。

「直す」ことは愛だと、前にも書いた。売る為の下心ではなく、本当に直したくなるモノを買って、使って、最後は土に帰す。これが、人間の責任だろう。

一番イヤなのが、今になってサスティナビリティとか持続可能性とかをテーマにしないと流れに乗れないなんて考えている人々が多くなったこと。パタゴニアの本で、もう持続不可能を前提で考えろとも言っている。拡大と成長をスローガンにしたら大変なことになる。

「全ては、何のために」それをやるの、なんでサスティナビリティなのか、売る為だったらやめとけ。40年前から、金がないから拾って、もらって、借りて、直して、売って、毎日が持続不能な状態をなんとかしようとやってきた。そしたら、働きすぎだから一年の3分の1以上休め、効率を上げて賃金を上げて持家を買って、40年のローンを組むとすごく豊かな日本になり、人生100年が幸せに生きれるなんて言い出した。無責任すぎる。1人1人全部違う生き方が、自由というもの。口を出すことではなく、やりたいことをやりたいだけやって、誰かのために少しでも役に立つのならそれでいい。人も会社も、持続することは非常に難しい。だからこそ、売ることよりも直すことからやり直すことが、今必要かも。