強くなる成長は、持続不可能を前提で経営を考えて実行する。
パタゴニアがその代表格だ。
2017年に出版された、『社員をサーフィンに行かせよう』という本は心に響く。
強烈なのは、パタゴニアが社会的責任をすべて全うできる日は来ない、持続可能で悪い影響の全くない製品は作れない、それでもそこに近付ける努力をしなければならない、現実の消費は持続可能とはとても言えない、消費量が多い、有限な地球で無限に成長しようとしていることが、この問題を解決するわけがない、と。さらに、気候変動の影響が次第に大きくなっている今、『消費は美徳という考え』を見直さなければならないとも書いている。
我々の商売のスタートはパタゴニアのような経営哲学なんてあるわけがないが、『まだ使えるのになんで捨てるのか、もったいない』
直して、売る、だった。
店も古い倉庫を直したり、古い旅館を直したり、お金が無かったからこそ、できることは限られていた。だからこそ今がある。
持続可能なんていう商売はそもそも存在しない。継続することの難しさ、『好き』を仕事にしても上手くいったためしがない、『SDGs』とか、サスティナブルとかをスローガンにしても、今の流れに乗るための手段にしか聞こえない。大事なのは消費を減らす品質の良い物を長く大切に使う、壊れたら直す。
すぐそこにある未来は、人件費の安い国で、安く大量に作って、大量に売って、早く大量に破棄して、すぐに買ってもらう消費活動を止めることで、持続不可能を先に延ばすことができる。
太る成長を捨てて、強くなる成長を選ぶ。
みんながみんな、パタゴニアのような会社にはなれないだろうが、小さい会社が流れに乗らず、なんとなく憧れを抱く考え方ややり方を実行してもいいと思っている。
ものすごく難しいのは承知している。