昔、先輩の経営者でちょっと変わった人から、「城丸さんよ、あんた、会社の哲学あるかい」と聞かれ、「そんな事、考えたこともないです。」と言ったら、「むずかしくないよ。俺は毎朝トイレ掃除すると気持ちがよくなる。その気持ちが社員に伝わり、その先のお客さんに伝わる。それが俺の哲学なんだよ。」それと、もう一つアドバイスがあった。「素手で掃除すると分かることがある。やってみな。」それからずーっと、自分もトイレ掃除をやり続けてみて20年以上になる。一つ分かったことがある。たまに掃除をしない日は、一日中すっきりしない。しかも売上もいまいち、ということです。
「なんだ」と思うかも知れないが、社長にもいろいろな人がいます。例えば、眼に見える資産である預金や固定資産、そして売上高や従業員数が一番と考える人、あるいは、何十年、いや、100年以上継続させているという中に存在する眼に見えない資産も大きな価値のひとつであるということを意識しながら経営を考えている人。
確かに、会社は「お金」を稼ぐことが大切。しかし、「お金」は目標ではなく、よく言われるように、「どうやって儲けるの?」という以前に「何を提供できるの?あなたは」が先のような気がする。
要は、きたないトイレを掃除して、気持ちよく使ってもらう、喜んでもらう、汚したら申し訳ない、きれいにしておこうと人の行動を変えることにつながる。
大げさに、「哲学」なんて言ってしまったが、問われているのは自分はどんな価値を作り出すことができるのか、その価値はお金を払ってでも手に入れたいものなのか、そこんところがものすごく大切だと思っている。
誰かが言っていました。モノやサービスはお金と交換されると同時に、技術や誠意といったものが満足や信用と交換されている。情熱や技術や誠意という信用はどれだけ会社が蓄えても損益計算書には記載されない。だから、トイレの掃除が会社の哲学であってもいいじゃないか。眼に見えない資産を増やす時代なのかも知れません。