ずーっと、今あるものに目を向けて手を入れるという考え方で仕事をやってきた。
最近、料理家の土井善晴さんの記述が「グッ」ときた。
それは、「自然の力を皿の上に宿すこと。そこに自ずと『おいしさ』が現れる。良い酒も、良い味噌も、人間によって作られるものではない。その『おいしさ』は宿るものであり、自分が作ったというのは思い上がりだ。おいしいものも、美しいものも作ろうとするな。なぜなら、美が逃げていくから。人間が仕事と一体化すると、人間の意思が消えて、仕事が仕事をし始める。黙々と仕事に没頭すると、素材が自分に寄り添っておいしいものが現れる。正直に、やるべきことをしっかり守って、淡々と仕事をすると美しいものができあがる。」という内容。
仕事を続けることは、自分が仕事しているのではなく、仕事が自分を選んでいる。そして、仕事が自分に対して期待している。そんなふうに考えてもいい。何十年も続けた人にしかわからないことかも知れない。