城丸正ブログ

だれに、なにを、どのように

2023.05.22

商売する上で、「だれに、なにを、どのように」が大事だぞと言われ、そこを意識してやってきた。

先日、我々の鳥屋野店の小さな本売場で「山の上のパンに人が集まるわけ」という本を見つけ、一気に読んだ。平田はる香さんという、パン屋を経営している女性が書いた本。

親子ほど年齢が離れている人が書いた記述だが、自分の考えと非常に似ていた。店を知ってもらうためにどうするか、無休でパン作りをして体と心の限界までやったからこそ、働くことの意味や心の犠牲とか、様々な働き方というその人ならではの生き方があるということなど、やったからこそ気付くことなんだと思う。

人はやりたいことがたくさんあるが、「できること」をリストアップして自分自身の棚卸をする。この「できること」を掛け合わせることで仕事になるかもしれない。よく言われることで、この「できること」という点をつなげていくと線になり、そして面になっていく。さらに面が集まり「場」になっていけば最高。S.H.Sも誰も見向きもしない場所、寂れた場所、だが周りには自然がある。

「ふつうこうだよね」、「今ってこうだよね」という考え方にとらわれず、「ここだ」という直感に従うことも大事だと思う。さらに、「わざわざ」ここに来てもらうためにできることは何だ。それを一つ、また一つとプラスしていっただけなのだ。この「わざわざ」が、このパン屋と同じ考え方だということ。

「来たい」理由を増やさないと消滅する。このパン屋も「どこで売る、何を売る、誰に売る」の三原則を掲げている。自分は「だれに、何を、どのように」を三原則にしてずーっとやっている。ここも似ている。さらに、安いからといって飛びついて買うことではなく、ゆっくりと吟味して悩んでもらって選んでもらって買ってもらう。そんな環境をつくることも大切だということ。だから、イベントには無理がある。商品を大量に消費させてしまった罪悪感のようなものがあった、とも言っている。

店は、別れと出会いがある。誰かが去り、新しい人がどこからかやってくる。自分も一つの店に通い続けることはない。たかが店でしかない。

しかしながら、店とお客さまとの間には何かがある。もっと書きたいが、もっと知りたい人は彼女が書いた本を買って読むことだ。ヒントがたくさんある。くどいようだけど、だれに、なにを、どのようにで仕事をする。これしかない。