先日、年輩のお客様がご来店されて、私に『食器棚を探しに来たの。一緒に見てくれる?』と言われ、店内をご案内したのはいいのですが、ほとんど食器棚の展示が無くなっていた。いつの間にか売れないという理由で、売場から無くなっていた。
今、食器の収納は作り付けが多くなって、家具メーカーよりキッチンメーカーが主流になり、住宅の新築やリフォームでセットされていく。時代と共に、より便利に使いやすく、カッコ良くて安い価値観で、中国や東南アジアで製造されていく。しかも、年々クオリティーも高くなっている。この事を止めることはできない。
ただ、面白い現象は、中国人は”MADE IN JAPAN”を買うことがステイタスなのに、日本人は”MADE IN CHINA”でもOK、低価格、ローコストは大満足。
中国人と日本人は逆転の価値観になった。自国の製品を大切に丁寧に使う。雑誌などで、”丁寧な生活”なんてキャッチフレーズを見たりする。逆に、”100円SHOPで買った物で、こんなにカッコ良く生活できる”とか、タレントを使ってテレビ番組を作ったりする。
どっちの生活もありですが、日本中が安くて・簡単・便利で・早いという生活が当たり前の時代に、『本当にそれでいいの?』という提案をする、”店”・”人”がいても良いでしょう。
暮らしの時と場は、皆一緒ではないと思う。面白い人がいて、面白い店がある。しかし、面白い店を続けるのはもの凄く大変です。流れに乗れれば”楽しく”、”楽”かもしれないが、想像を超える競争相手が存在する。経済が低滞すると、安さを追求し始める。これでもか、これでもかってね。それ以上に一億総メディア時代になって、個人がネット上で売りたい物をインスタ映えする写真で、ツイッターでユーザーの心を鷲掴みにする。物を売るだけの店は、人が足を運ばなくなった。私も、従来の商店街も、小売業という世界で生きていくためには、今までの常識をぶっ壊さないとリアルな店舗の将来はない。
その為に、ありえない事を”ありえるよな、これ!”と本業で作るしかない。