脱サラして、何か好きなことをやって食べていければ最高なんて思ってやり始めたが、商売は甘くはなかった。すぐ思うようにいかなくなり、失敗の連続をほとんどの人が経験すると思う。自分は、もろそうだった。立派な人が言うには、「役に立つには」とか「必要とされる」存在にならないと成り立たないとのこと。でも、わかっちゃいるけど自分のやりたいことと重ならないし、気持ちがついてこない。その結果、やりたいことへ戻ってしまう。だったら「役に立つ」だの「必要とされる」だの綺麗事なんて並べずに「やりたいこと」をやるしかない。
「地域のため」、「多くのお客さまのため」なんて考えるのをやめるのも一つの生き方だと覚悟を決めた。そしたら最近、「役に立つ存在」よりも「意味がある」ことが大切だという本に出合った。尾原和啓さんの「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」という本なのだが、グッときたわけです。
その本の内容の一部です。「社会が変わり、消費においても欲を満たすあるいは他人が羨むようなものが欲しいというような価値観ではなく、自分が心から好きだと思うものが欲しい、あるいはその会社や店の考え方や生き方、やり方、表現のしかたに共感できるものを買いたいといった想いもある。そして、2つの軸がある。一つは『役に立つか立たないか』、もう一つは『意味があるかないか』。『役に立つ』というのは1種類でよく、価格競争になりやすい。それに対して『意味がある』というのは10人10色で様々な意味を作り出せる。」
現在進行形でやっていることを「意味がある」と思ったことはないが、今までやってきたことを「意味があった」と意識してしまう。
スタートから今に至るまでのプロセスが、少数ではあるが、地域の生活者に響き、ちょっとした意味が生まれたからこそ40年以上やってこれたのかも知れない。
「役に立つ」とか「地域のため」とか大それた考えは持つことができなかった自分だが、行ってみたい場所として店が認知されることは一番うれしい。
失敗してこそ、やる事の「意味」を見つけることができるみたいだ。