昔も今もこれからも「店」の役割って何だろう。売っている商品を買ってもらうためだけでなく、何か妙な安心感みたいな空気をつくりだすことが大切なのではないかなと思っている。
店主やそこで働くスタッフとお客さま、あるいはお客さま同士のちょっとしたつながりみたいなものがあり、その結果、人間関係が広がっていく「店」を目指すのもいいじゃないか。
我々は明確な目的があったわけではないが、回り道や寄り道をしながらなんとなく街を知り、その街にどんな「店」をつくってその「店」にどんな人がいたら何度も何度も足を運んで買い物をしたくなる気分になるのか、が一番大切だと強く思うようになった。
ネット社会だからこそ、リアルな「店」の存在はどうしたらいいのかを深く考えるようになってきた。そういう意味で、ネットは敵ではなく刺激として捉えるのもありだろう。しかも、これからは地域の独自性を土台にしてまずは地域の人に愛される店づくりをすることが大切になる。そして、小売りの核心は地方から始まるとか、終わった業態にこそ未来がありそうだとか勝手に考えて進めていく。やってみなければわからない。
それから、もういい加減「良いモノを安く」をやめよう。この考え方が根付いたまま新たな付加価値なんて到底発揮できそうにない。これだけグローバルな社会になるとあっという間にマネされる。だからこそ、「良いモノは高く」という発想への転換が不可欠という意見もある。国産車はすごく高くなったよな。それに比べ家具・インテリアあるいはアパレルは未だに安さをアピールして、巨大になった企業が業界を代表する。それが日本なんだろう。
小さくて弱い我々は吠えるしかないかも知れないが、「あんたの“店”があってよかった」「娘が結婚する」「赤ちゃんが生まれた」「これ食べて」、、、、様々な会話、人と人とのつながりの中で「店」が続いていけば最高だ。