改めて販売職を考える。
何でも揃っている、それほど欲しい物もない今、『この商品、いかがですか』では売れない。
ネットで買い物できる時代、対面で販売する仕事を主としている我々は、敢えて販売職を強く意識しても良いじゃないか。
『モノからコト』も空気言葉に聞こえる。販売に奇策はない、あくまでも店で待つ、したがって来店していただくために商品が必要、その次に品揃え、そして働く人間がそこにいる。
販売職は人にしかできない。そして人から見られるし、評価もされる。優しい人、細かいことに気付く人、明るい人、おもしろい人、キリがないくらい色々と相手の人に受け止められる。
逆に、嫌な人、冷たい人、気が利かない人と思われることもある。
そんな風に考えると、対面で商品を販売する仕事は人間にしかできない、無限の可能性がある。
初めて店に立った時、初めて接客して商品が売れた時、また来たよと言われた時、そして、ありがとうの声を聴いた時、何物にも代えがたい喜びを感じる。
そして1人、また1人と、自分のファンが増えていく感覚は他の仕事にはない何かを掴んでいく。ただ毎日のちょっとしたことを手抜きしていくと、気付かないうちに人は離れていく。
はっきり言って、販売職は全て自分自身が試される仕事。しかも生活必需品が消費の前面に出てくることはなく、生活を楽しく感じさせたり、生活に余裕や潤いを与えたりする『モノ』が支持される。『コト』ではなく、人が『モノ』を理解し、生活へのプラスアルファを伝えられ、最終的に『買っちゃった、あの人から』になるのが販売職『冥利』だと思う。
若者にとって、デジタルやITという世界がこれからどんどん可能性が広がると思っている人が多数だというのはわかっている。それは、そこでものすごい競争が存在する。逆に、あまり関心がもたれない世界にこそ、独自性が発揮できるチャンスはある。
販売職はさらにマイノリティな仕事かもしれないが、存在感は断トツになる。
デジタルを駆使して、アナログで生きるのもありだ。