創業だ!起業だ!これからは働き方改革だ!
どうぞ、どうぞ、いいと思う。
だが、川上徹也さんが、小さな会社が10年後も生き残るためにやるべきことはという本で、最初に、経営者は失業予備軍だということを知っていましたかと書き出している。『中小企業白書』のデータで、10年後には4分の3の確率で失業者になるかもしれないと、現実は厳しいということを発表している。
日曜の新潟日報朝刊の一面では、新型ウイルスの感染の影響もあるが、休廃業・解散5万件を超える、倒産は1万件に達するという記事。
今まで経験したことのない状況が起こりつつある。
新潟県は創業や起業する人が少なく、全国的な順位がだいぶ低い。だから、よく成功者を呼んで創業セミナーをやったりしているが、逆に失敗談や厳しい話しをして、それでも挑戦するという覚悟のある人がいれば良いけど。自営するのは勝手だし、自由だからいいじゃないの。
もう一つの考えは、新潟県は日本一保守的な県民で、世の中の流れに対し冷静な見方をする人が多い、だから創業や起業するよりも、人手や人材を必要とする業種や、後継者がいない産業にあえて飛び込んで、心と身体を使い、時間をかけて技術を身に付けなくてはならない存在を目指すのも大切な生き方だと思う。
脱サラをして商売を始めた私は、まず、自分がやりたいことをやって儲けたい、それで生きていきたい、自分には何ができるのか、そうだ、リサイクルが良い、そこに『こだわりの』をつければカッコが付く。だがそれで食べていけない。そこで気付く、『甘くない』。変わらないと生きていけない。粗大ゴミを拾うことから、米軍基地を回り、払い下げのアメリカ製のゴミ、すぐにそれも行き詰る。
好きなことをやって食べていくことは難しい。自分にとって何がという、自己満足など『以ての外』、顧客満足を使うのも恥ずかしい。
次から次へ『満足』は変化していく。それが情報化社会なんでしょう。
もう一つ、『ニーズ』という言葉も死語化している。
なぜなら、必要とされるものはほとんど揃っている。
『特別な』とか『こだわりの』とか『厳選された』とか発信しても、空気言葉になり、響かなくなった。ネット社会で、その地域の中で生き残るには、ファンが一人、また一人と増えていくことが一番だと思う。
今までファンになってくださった方は、スタートしてから色々な変化をしてきた店と、そこで働いている人に何かを感じてくれた人。これからのファンは、今、店で働いている約30人の社員が名札を付けて自分の名前を知っていただき、商品はもちろんのこと、話しを聞いてもらいたい、説明をしてもらった、気持ちが良かった、という感覚を店と人から感じてもらい、あのスタッフ名前何という人なんだろうと気に留めてくださったら、そこから人と人との関係性が生まれ、ちょっとしたファンになっていただく。最終的には、そのスタッフでなければというファンが一人、また一人と増えていくことが大切。ファンが増えるということは、ある意味スターなんです。ファンのためにどうする、何する、もっとこうするか。毎日、毎日、何かをつくっていく仕事です。みんな名もない、いや名前のあるローカルスターです。
今いる場所で、人に喜ばれることをつくる、それだって立派な仕事です。
創業や起業を煽ってもしょうがない。
あくまでも生き方なんだということ。