『おもてなし幻想』実業之日本社から出た本。
日本的なサービスとして内外から評価された『おもてなし』が、実際は『おせっかい』と受け取られていたという調査結果、しかも顧客ロイヤリティを高めるのは、『顧客に手間をかけさせない』ことだった。
実は私も、あまりにもあっちこっちで『おもてなし』という言葉が使われ過ぎて、内心違和感を覚えていた。
もてなすことは特別なことでなく、当たり前のことなのに、さもさも特別なことにしてしまった。
もてなすは日本の普通でしかない。それなのに顧客満足を高める色々な『おもてなし』を足し算しようとした結果、『おせっかい』という受け止め方をされてしまっている。
もう時代は引き算していかないと、もっとシンプルにわかりやすく、いつも言っている手間ひまかけてという事と逆になってしまっているが、全部が全部こうだではなく、一つ一つ見極めていく力が必要になっていると思う。
そういえばと思い、引き算をテーマにした本を前に読んだことがあると探したら、2015年、岩崎邦彦さんが書いた、引き算する勇気(会社を強くする逆転発想)が本棚にあって、もう一度読み返している。
一発めに出てくる内容が、右肩上がりで経済が成長を続けた時代は、大量広告宣伝、大量販売力、営業力といった、『押す力』を持った企業が強者だったかもしれない。だが成熟時代の今、『引く力』を持った企業が、顧客の気持ちを掴む、引き算に人は惹かれる時代だという書き出しである。具体例を挙げて説明しているし、わかりやすい本です。
小さい会社は特に流れに対し、本当にそうかなとか、少しでも違和感を感じたら逆を考えて動いてみると、やっぱこれだよなぁと見つけることがある。だからと言って、ずーっとそれでいいということでもない、難しい。
これがダメなら、アッチかな?と悩む毎日です。