城丸正ブログ

0.3%の大企業

2024.03.14

令和5年6月の中小企業数の結果を見て感じたこと。

小さな会社がどんどん減っている。日本の会社の99.7%が中小零細企業、大企業は0.3%。最近その大企業が、春季交渉における大幅賃上げ要求に対して満額回答を出し始めている。

「だっけどうしたん」に尽きる。

かたや、日本を代表する自動車メーカーによる下請けいじめや不正が発覚し、我々の業界でも大きくて力のある会社が優越的地位を利用して取引先に対して不利益を与えてしまうこともある。

こんな状況で「大手がこれだけ上げたんだから中小も上げましょう」という空気はどうみてもおかしい。マスコミも商売だから、広告宣伝費を圧倒的に多く使って売上に貢献してくれる大企業の味方をせざるを得ない。それは分かるんだけど、圧倒的に数が多い中小零細企業で働く人の側に立って発信すべきだろうと思う。危ないのは、全員が大企業の顔色を見ながら世の中が回っている状況だ。

石井妙子という人が「上ばかり見る日本社会」というコラムでいいことを言っていた。「政治も芸能も、上にいる人に認められたい、好かれたいという思いが強く、その結果、個人と個人を結ぶ関係はタテになる。タテの論理を優先し、上の意向に従い、自分自身で善悪を判断せず、悪事にも自覚なく手を染めていく。そんなことでは衰退していくのは当たり前。同じことが繰り返され、やがて日本そのものが衰退してしまう。」と結んだ。

経済の世界も、トップオブトップの大企業ばかり見ていると大変なことになるのでは。中小零細が99.7%を占めるのであれば、個々の個性を活かし、大企業とは違った世界を作ることで利益が生まれ、賃上げにつながるのではないか。

小さな会社では、経営者側と労働者側なんて意識して仕事しているわけではなくて、もう一つの家族みたいな関係で成り立っているところが多いと思う。物価が上がれば給料も上げたい。でも売上が上がらなければなかなか難しい。昔だったら「死んだ気になって働け」なんて言っても、「はーい、わかりました頑張ります」で通じていた。社長も従業員もバカになって仕事して「やったな!」とか「やっぱだめか」「もう一度頑張ろう」とか理屈ではないつながりがやりがい、生きがいにつながった。

そして10年、20年という時間が歴史になり、信用になり、ブランドになったように思う。だが、働き方改革という名の下に、働くことに対する考え方が変わり、目に見えない大切なことより、ちゃんと目に見えて誰でもわかるように数値化されたものを評価しましょうになった。

その一方でそこらじゅうでイジメが起こり、殺伐としているのはなんでだろう。ルールを作れば作るほど人間の尊厳が失われると何かで読んだ覚えがある。