城丸正ブログ

2023.06.27

誰もが知っている中島みゆきの「糸」という曲がある。

「縦の糸はあなた、横の糸は私、織り成す布はいつか誰かを暖めうるかもしれない」という歌詞が好きです。

昔の話ですが、商売の大先輩が「おまえ、商売するうえで、縦の糸はなんだ」と聞かれ、答えられなかった。そしたら、「『金』だろうよ。でもな、この『金』だけだと不幸や失望感を味わうぞ。もちろん『金』があることは幸せに直結するが、忘れちゃいけないのが横の糸なんだよ。この横糸は『人から喜ばれること』ありがとうという糸さ。」

その時は金も無い、信用も無い、なんにも無い自分だったからピンとこなかった。

後にテレビドラマ「ドクターコトー」がスタートしたのだが、このドラマの主題歌が中島みゆきの「糸」という曲だった。離島で医療に従事する主人公にはまってしまった。

自分は商売をして生きていくことを選んだわけだが、改めて考えると、自分は商売の才能があるわけでもないし、好きな事で食えればそれでいいやと思って始めたわけだが、全く生活ができないし何度もやめようと思った。

そんな時に「ドクターコトー」の中にヒントがあって、人がいかない所、人がやらないこと、人がいやがること、あるいは一人くらいは自分のやったことに「ありがとう」と言ってくれるかもしれないこと、流れを無視すること、いろいろ考えて迷って遠回りしながら今に至る。

自分にはこれしかなかった。今、自分にとっての縦の糸とは、横の糸とは。

「糸」の歌詞の最後は、出逢えることを人は仕合わせと呼びます、と結んでいる。「幸」ではなく「仕合わせ」という詞、色々考えさせられる。