新潟駅に大きな商業施設ができた。「街」全体として良かったかどうかは分からない。おそらく、商業施設同士の熾烈な競争が始まるだろう。栄える所があれば、必ず廃れる所がある。その結果として職を失う人がいれば、好条件で職に就ける人もいる。この繰り返しで経済と「街」が発展していけばいいが、人口減少中の新潟はどんな「街」をイメージしていけばいいのだろうか。
「水の町」「港町」とは言われるけれど、駅に降りてみるとそんな雰囲気は全く感じられない。古町までの新潟2㎞をスローガンにして「街」の元気を取り戻すとか言いながら、必要なものは新潟駅ですべて揃ってしまうので古町まで行く必要なんてなくなってしまう。せいぜい「万代まででいいか」になるかもな。
いかに売るかではなく、新潟ならではの文化という視点があってもいいと思う。「ノイズム」のような舞台芸術があるし、映画や音楽、美術館、図書館、博物館、歴史を象徴する建物など、新しいものと古いものの調和の中で、文化に関するありとあらゆるものが経済を動かす街になることも大切な気がする。新潟の文化ってなんなんだろう。
ある人が、「文化経済」はこれからものすごく大切になるだろうと言っていた。その「街」にしかない「所」で過ごす「時」。港町新潟ならではという風情とそれにふさわしい宿泊。決して大きなホテルがあればいいのではなく、小さな旅館や小さなホテルで「時」を過ごし、周辺に心地よい眠りと食と衣に関する必要なものが少しずつ増えていく。それを目当てに外からお客さまが来るようになれば、その人たちからさらにエネルギーを借りて「街」が成長することもできる。
もういいかげん「物売り」をやる街ではなく、滞在したくなる場所としての「街」になる必要がある。
文化や興味を軸にして自然の力や様々な人の力を借りて、色々な人が移動することで「街」が成長していく。人口が減っている中で、もっと売るにはどうするかではなく、どうやったら気持ちの良い「時」を過ごしてもらえるか、その結果として思わず「お金」を使いたくなるという「街」になるかでしょう。
だからこそ我々は、新潟に来たら一度は寄ってみたい「場所」の一つになるために「時と場」の提案をしている。
正直言うと、新たな商業施設ができると多かれ少なかれ影響を受ける。社員を守るために今の場所に磨きをかけていかなければならない。今あるものに目を向けて手を入れるしかない。