町の家具屋だけでなく、服屋、本屋、魚屋、居酒屋、めし屋、とりわけ仕入れて売る小売業がどんどんなくなっていく。
郊外に次から次へと巨大な商業施設ができたこともあるが、時代の変化も利便性の向上もあるわけだからしょうがない。
自分も古町商店街で16年ぐらい小売を続けてきたが、1990年代後半になってなんとなく未来はないと思うようになった。そして2001年2月17日に鳥屋野潟の倉庫へ移転した。
もし始めから郊外でやっていたらすぐにつぶれていたと思う。それぐらい古町商店街での16年間は大切だった。
商売をやっていると次から次へと『カベ』が立ちはだかり、イメージ通りにいかないことが多くなる。
自分の力だけではどうにもならないと感じるようになり、ほかの力を借りるしかないと思った。
その力は『食』だった。カーブドッチレストランに入ってもらって「ガラッ」と変わった。
2009年に出会った「社長のノート」という本はものすごく参考になった。その中にあった、「業態の垣根を超えよう!」という記述は、今まさにその通りだと思っている。
「製造/流通/販売」の垣根がどんどんなくなってきた。成長市場では、メーカー→問屋→小売の三者が分業していく方が効率的であるが、縮小市場ではメーカーがECサイトを通じて消費者に直接販売することが当たり前になった。
では、我々は家具屋という垣根をどうやって超えていくべきなのか?
店というのは衣・食・住・美・知・健の集積により集客を増やし、いかに最終的に買い物をしたい気分になってもらうかが大切だ。
「どうやって売るか」よりも「買いたい気分になってもらうにはどうするか」になってきた。安さを武器にするのは大企業にしかできないやり方だ。
「行きたくなる場」、「過ごしてみたくなる場」、「時と場の提案」これが20年前から掲げているテーマである。
町の家具屋はなくなるだろうが、時と場の提案はエンタメでもあるし、店舗がメディア機能を果たさないと残れない。
ものすごく難しい。