城丸正ブログ

最後はやっぱり『時と場』なんだ

2021.05.11

1982年、脱サラしてリサイクルショップをスタートしてしばらく経って、テレビドラマの『北の国から』が始まった。

主人公の黒板五郎の生き方は無理やり自分とかぶると思っていた。

世の中バブル、なんで中古品なんて売るのとか、新品がどんどん安くなっているのに商売になるの、などと言われることも多かった。

正直辛かったし、間違ってしまったかなと思う毎日だった。

だから、上手くいくわけがない。

特にバブルがはじけた90年代半ば頃から、今度は価格破壊とか言っちゃって、『安さ』が生活者の味方であり、当たり前になった。

この頃から日本製がどんどん減って、メイドインチャイナになり、いかに価格を下げて物をつくり、大量に売るかの競争、企業は生き残るために生産コストを下げると同時に、労働コストを削減する方向に走る。代表的なやり方が、正社員から派遣などに切り替えて人件費を下げる。さらに、まだ日本人の賃金は高いからもっと安く使える人間の国で生産することで、さらに安く作って大量に売る、これが主流になった。

当時、大袈裟かもしれないが、価格破壊は雇用破壊、そして人間破壊になるといった内容の記述もあった。

今はどうだろう。

『安さ』の追求はもちろん、『便利』の追求、さらにデジタル革命へと変化していく。

我々小売業は、仕入れて売るだけの単純なことで成り立たなくなった。

直接売上げにはつながらない、一見無駄なような回り道をしたり、大きな投資をして、時間もかけてつくっていく『場』であったり、『空間』であったり、『世界観』みたいなことに取り組んでいく必要がある。その結果、ついつい買物をしてしまったという感覚を持ってもらうことも大切だと思う。

くどいようだけど、やっぱり時と場の提案が我々の仕事だ。