城丸正ブログ

損得物語

2023.08.13

自分もそうだし誰だって損はしたくない。テレビを中心とした色々なメディアで得、得、得の連呼。でも昔から「損して得を取る」という”ことわざ”もある。損のしっぱなしや得をすることの連続などない。おそらく損得物語があるのかもしれない。

最近、経験を積んだ社員から、お客さまのキャンセル報告書があがってきた。理由は、ネットで売っている同じ商品の方が安かったから。今は当たり前の出来事です。ここに割り切れない思いと損得物語が生まれてきます。お客さまは、接客した店員という「人」に対してよりも商品という「モノ」に対しての損得勘定を優先した。一度は店で決めたけれど、「まてよ、ネットでもっと安く売っているかもしれない。調べよう。あの店よりも安い!キャンセルしよう。」あの店員さんには悪いが「まあしょうがない」こんな判断は当たり前にあることだと思う。

我々小売業からすれば残念なことだが、色々と考えさせられる。そして、自分達の生活を守ることに関しては売る側も買う側も同じだということ。ネットでの売り手は必ずしも地元の会社や店ではないことが多い。だからお金は地元から飛んで行って戻ってこない。便利で簡単、「安くて早い」は得かも知れないが、実は大きな損を近い将来被るかもしれない。

自分が住んでいる地元の店や会社の商品やサービスを買うことでお金が回る。そして、そこで働いている人の生活が支えられていく。このこともお互い様経済という循環だ。成長や拡大よりも大切な物語がある。地元にお金を落とすことで、地元が潤い、めぐりめぐって自分の仕事にも生活にも得が生まれる。

グリーンウォッシュや惨事便乗型資本主義の実態に気づかないまま変に環境意識を持った発言ばかりするくらいなら、「お互い様経済」でいいんじゃないか。

得もするし損もする。やっぱり損して得になっていくのかもな。

ネットは先に得をして後で損をする。しょうがない現実。だからおもしろい物語として受け止めるしかない。