城丸正ブログ

恩送り

2022.06.12

とかく、人は受けた恩を忘れ、一人で成功したつもりになる。最悪なのが、大した経験も積んでいないのに、「できる自分」と過大評価して、仕事場の後輩に対して上から目線で接していく。

誰にでも思い当たることがあるはずだ。大切なのは、早く痛い思いをしてそれに気付くかどうかだ。そんな傲慢な人間にならないために、今までを振り返って、受けた恩がどのくらい大きいか、それに比べ自分はどのくらい恩を返しているかを考えてみると、恩を返そうにも、その人が退職や異動したり、俺みたいな年寄りになると相手が死んでしまっているとか、返そうにも返せなくなってしまう。

最近知った言葉が「恩送り」(返すべき恩を後輩たちに送る)

例えば、長く仕事を続けてきたスタッフの中に、熱心に後輩スタッフの報告に耳を傾け、足りない部分があればアドバイスをして、あるいはヒントを伝える。さらに、自分の失敗や過ちを飾らずに話をして、人と人の信頼を強める人もいる。逆に、経験を過大評価して、自分なりの考え方とやり方を伝える人がいる。自分も後者かも知れない。さらに、なかには自分自身が送った恩の方が大きく、受けた恩は小さいと受け止めて生きている奴もいる。だから難しい。その結果、そういう人には誰も近づかなくなっていく。すると、本能的にニコニコしながらやさしそうな人に近づいていく、「いやだね~」。

恩は返したくても返せないことがある。だからこそ、今一緒に仕事をしている仲間や後輩に、自分が今まで受けた恩を送ることで、様変わりするはずだ。気遣いだったり、どうしたら前向きになってもらえるかなど、相手のことを考えて生きることが恩送りにつながるのだろう。

俺も沢山の人に迷惑をかけたからこそ、今からでも遅くない、いや遅いかもな。様々な人と仕事してきたから、やっとわかるようになった。

人が一番難しいし、おもしろい。そして、思い通りに行かない。だったら、恩返しより、恩送りしようか。