城丸正ブログ

実は演歌

2012.01.23

昔からの仕入れ先である米軍基地。中でも私は北国の基地が好きなんです。それは前にもお話した青森県の三沢基地。なぜそこが好きなのか・・・・うーん、やっぱり立川や福生、座間、あるいは岩国のような明るさやカッコよさがあまり感じられないこと、そして私自身が田舎者なので性にあっているということです。それと北国の基地は競争相手が少ない様な気がしたんです。当時2tトラックをレンタルして国道7号線を新潟、山形、秋田、青森と北上していく時に聞きたい歌はもちろんさぶちゃん!北島三郎の風雪流れ旅。日々のBGMはあの頃ボブマリー、でもこの時は決まってさぶちゃん聞きたくなるんだ。わかりますか?日本人なんです、やっぱり。長距離トラックのドライバーの私に沁みるのは北島三郎の演歌。これからアメリカの基地へ行く私ですけどね。笑えるでしょう。ラジオから流れるさぶちゃんの歌声にとめどなく“涙”が流れる道のりです。これから仕入れに行くんです。仕入れは仕入れですけど一体何がどのくらいあるか見当もつかない、こうして行ったとしても買えるか買えないかもわからない。けれど、でも、行かずにはいられないんです。ミスタースガヤマが待っていると思うと。

このミスタースガヤマ、いつも私の期待を裏切る男です。こちらの思い通りに仕入れさせてくれない男。彼は日本人・東北人、いや中国系、いや韓国系、なんだかよくわかんないんですよ。要は日本人離れしている。このミスタースガヤマには精神を鍛えられました。常にギブアンドテイク。仕入れたいならその前に俺の仕事手伝えってトラックに乗せられて基地の中のゴミ積みをガッツリさせられる。クタクタになってから仕入れがようやく始まるという具合。私が多少図太くなれたのはミスタースガヤマのおかげかもしれません。…あんまり酷くて1度だけこっそり仕返ししたことがあるんです、実は。何したんだってそれは私だけの秘密です。ちょっとスッキリしました。スマホやネットの世界ではない、人間が五感を使って行きたい場所、会いたい人、話したい人と見てみたい物、触ってみたい、運んでみたい、そんなことが実は一番大切にしなければならない事かもね。もちろん仕事着は迷彩パンツにファイヤーコート、重いんですこのコートが。でもあえて着ていく。そうして基地に着くとヤンキー(米兵)に笑われるんです。頭くるんだけどいいんです笑われても。だって私はその気になってますから。

三沢基地のある三沢市には詩人寺山修司のミュージアムがあって有名な言葉を残しています。「百年たったら帰っておいで百年たてばその意味わかる」この言葉を読んだとき私は涙が止まりませんでした。当時、仕事は何をやっても思うようにいかずこの先どうなるのだろうと毎日不安と焦りの中にいました。ですから寺山修司のこの言葉の意味、グーっと来るわけです。今でもそう。もっと頑張ろう、貧しくても続けていこうと。北と言えばもう一人、倉本聰が北海道の富良野で富良野を舞台にしたドラマ、北の国からを開始した頃でした。やっぱり南でなく北なんです。寒くて、厳しくて、でも人が温かくて。ミスタースガヤマもある意味で温かかったのかも?どうも私はこういった風にみんなつなげてしまうんです。物凄く影響されてしまいます。自分勝手な見方ですみません。

ところで倉本聰が北島三郎の付き人をしていたという話はご存知でしたか。彼が自伝の中で書いています。それは驚きでした。北の国からを始めとする倉本ワールドは演歌の世界なのかもしれません。こうしてみると私の好きな人、全員北なんです。たった一人を除いて。アクメの安田さんだけは奄美大島、唯一南。私は何か決めるとき無意識に寒くて厳しくて辛そうだなぁと思う方向に走っているように思います。“やっぱり北かぁって”その仕事を初めて30年経ち、でもまだわかりません。100年経ったらその意味わかると寺山修司が云っている“その意味”。若い人にパスザバトンし100年続けられたらその意味わかって最高!!ってなるかもな、この新潟という田舎の町で。そして私は田舎だからこそグッドなんです。