街外れにある小さな電気店を経営する社長の話、「”御用聞き”電気店」
「お客さんに喜んでもらうことが一番」8人の従業員のうち7人が常に御用聞きに回る。「トイレが詰まる」と聞けば直し、「田んぼの水はけが悪い」と聞けばそれを解決し、葬式にも駆けつける。
そこまでやるからお客さんは商品を買ってくれる。「金を儲けることや店を大きくすることが商売の目的ではない。地域に溶け込み長く続けることが大切」だと言っている。
この電気店のお客の一人は「蛍光灯1本でも持ってきてくれて助かる」と話す。
この記事の内容は東日本大震災が起こった翌年の2012年9月の日経新聞に掲載されていたものだ。小さな店が果たす本来の役割がどうあるべきなのかを教えてくれた。
「店とは何か」インターネット通販や巨大なショッピングセンター、JRのような巨大な企業がつくる商業施設の隆盛で地方の商店は大きな影響を受けている。
だが、しぶとく残る店は売り買いだけやっているわけではない。スタートがリサイクルショップの我々にとって忘れてはいけないのが、直すことだ。
家具の修理、家の内装修理、庭木の手入れ、あるいは掃除、気持ちがよくなることを提供しよう、さらには洋服も直そう。売ることも大切だが直すことが原点だ。
この記事から様々なヒントをもらった。
もう一つヒントになったのが「代官山の蔦屋書店」だ。本屋の複合店を見て、とうてい足元にも及ばないが、家具屋がつくる複合もありだろうと思い込んだ。
人口が減少し経済成長もあまり期待できない時代だとすれば、今までの常識は通用しないだろう。
あの電気屋さんのように喜んでもらえることは何だろう。まずはそこから見つめ直すしかない。そして最終的に愛される店になるにはどうしたらいいかを追求し続けるしかない。
それが「売り買いを超える商い」ということだろう。難しいけどね。
この新聞記事、実は捨てられなくてしまっていた。整理したら出てきて思わず読み返して絶対に忘れないようにしようと。
売ることも大切だが、直すことでそれ以上の喜びを感じてもらってファンになってもらう。それしかない。