メールは便利です。
でも、ふと感じませんか、すぐ消える。記録に残らず、思い出も残らず、便利なものは儚く感じる。
私は今、当たり前に存在するネットを敢えて敵として捉えています。以前からペーパーレスと言って、ネットより紙の方が不便、あるいは無駄だという傾向が強い。でも紙・文字は無くしてはならない。
仕事上、20年くらいメモ帳を書いていた。あるいは昔のアルバム、捨てられない手紙、皆あるはずです。これはネットでは決して再現できないことです。
そして我々の仕事は接客販売業です。売る側の私と、買ってくれるかどうかわからない人が売場で接する。メールが当たり前の今、人が人に直に接し、話しをして、商品を買ってもらう。これも『うざい』という時代。
しかし、便利で簡単な方法を選べば選ぶほど、センスとか感性とかを失っていくような気がする。
もっと便利に簡単にという先に、何があるか。おそらく雇用が無くなる。
イノベーションと言われる革新、さっきのペーパーレスは新聞が必要なくなり、新聞屋がなくなり、新聞の配達員の職を奪う。アマゾンが本屋をなくする。リッター30㎞も走る車や、ハイブリット、あるいは電気自動車が当たり前になれば、ガソリンスタンドがなくなり、そこで働いている人は職を失う。ネットで安くものを買うことが主流になれば、店に行く必要はなくなり、その店で働く人は職を失う。
極端な話をすると、『人間』は経営で一番のリスク、昔は『猫の手も借りたい』という表現もあった仕事量や、個人では賄い切れないくらいに発生した雇用が、今は少ない人員で最大の効果を上げるには、人手に頼らず何とかしなければ、という時代に変わってきた。
しかも石を投げれば大卒に当たり、身体を使う仕事を避ける傾向が強い。おのずと人手不足の業種も増えていく。これが今の社会のアンバランスだと思う。人手が欲しい所は人が来ず、なるべく少ない人数で成長している業種には人が群がる。なんだか良かれと思ってやっていることがマイナス面も多くある現実。
便利の追求が雇用を奪うこともあるという、これからどんな時代になるのだろう。