我々は安く売る競争や量を売る競争はできない。2つの店が存在する地域や風土に合わせて小さな市場でも生き延びていく力をつけていきたい。
小さな会社でも、自分を必要としてくれるという実感は何物にも代えがたい価値だと思う。それなりの収入でその収入に見合った生活をする。そして、もう少し生活水準を上げるために収入を増やしたいと考えるのなら、とっておきの方法がある。
それは、人が休んでいる時に勉強し、人の嫌がる仕事をすることだ。「土臭く、泥臭いこと」をするのもありだ。やってはいけないことは、「してもらうことを期待する」ことだ。
「代わりはいくらでもいる」と言われたことを思い出す。強い者は弱い者に対し無意識に発する。だから強くなろうとするが、別の方法もある。それは、業種業態を超えて協力し合っていくことなのではないか。お互いに「代わりはいない」「あなたしかいない」という気持ちだ。
商売はどうしても損得勘定が働く。だけど、自分の力の限界を知ることで、人の力を借り、そして返すこともある。これはお互い様という関係だと思っている。
人口が減っている。これからは、お金という資本を中心とする考え方から人を中心とする社会へ変わるのではないか。
なんとなくではあるが、日本人の伝統的な人間観は欧米の個人主義や利己主義とは対極にあるように思う。全体と個を一体としてみる「和」の思想が見直されているのではないか。映画の『国宝』もその一つのように感じる。それと、あまりにも損か得かという見方が強くなりすぎて殺伐とした世相でもあるからだろう。
小さいからこそできることを探していこう。