城丸正ブログ

下り坂は文化の時代

2022.09.10

「マック」みっけ!キムタクのCMじゃないが、ビッグマック指数というのがあるそうだ。「ビッグマック」1個の値段を比較することで、各国の経済力を測る。

「ビッグマック」は全世界でほぼ同一品質で販売されている。ただし、その国の原材料費や光熱費、そして販売員の賃金などを基に単価を決めている。日本のビッグマックは390円。

この価格は世界で41位。1位はスイス952円、アメリカは742円、イギリスは612円ということは、日本の「マック」は半額に近い。

「安い」のはマックだけではない。コロナ禍以前、日本は外国人観光客にとって物価が安い、スイス、アメリカ、イギリス人からみたら自国の半額、だからどんどん日本に来た。日本は原材料費や労働者の賃金がいかに諸外国に比べ抑えられているかを映し出す。現実的に、給料が上がらないから「安さ」を求めて買い物をする生活者。その支持を得るために「安さ」を武器に拡大するひとにぎりの企業が、市場の「ヒーロー」になり、さらにデフレが続いた結果、「安さ」が常態化し、製品の値上げができなくなった。

値上げができないと儲からない、儲からないから賃金が上がらない、賃金が上がらないから消費が増えない、という悪循環が続いている。結果として「購買力」が弱くなった。そこに、今回のコロナ禍による世界の分断と「円安」がさらに原材料や燃料、光熱費の高騰を招いた。実際、我々の商品もどんどん値段が上がっている。「安さ」が強みと言っていられなくなった先進国の日本は、これからは値上げを受け入れて生きていくしかない。

でも、「安さ」を武器に勝ち残ろうとする力は、想像以上に強くて大きいし、選択するのは生活者の自由。「安い」ことがこの先ずーっと幸せかといえばそうでもない。ある記事に、日本の一人当たりの国民所得は、シンガポール、香港などに抜かれて、このままではタイやインドネシアに抜かれるのも時間の問題だろうと書かれていた。大事なのは、なぜここまで下がったのかを考える時がきたということ。

下り坂になったら、経済よりも文化の時代だと覚悟を決めるのも一つの方法。もう登り坂ではないよな。別に他の国に勝つ必要もない。