城丸正ブログ

ルールを決めても思い通りにいかない

2019.02.19

生産性の向上を図り、無駄を省き、効率を上げ、今以上に豊かで幸せな生活を実現する。

これが働き方改革だと言う。

絶対に無理なのが、農業だったり、次が漁業や林業、そして商業だと思っている。

特に農業は生産性が低いと言われる。なぜなら、予測できない自然との戦いであったり、共生だったりする。朝8時から夕方5時までの8~9時間労働で、仕事は終わらないことが多いだろう。やればわかる、やらなくても大変な仕事だとみんな理解している。

一反から収穫される米はだいたい10俵くらいだろう。米だけでなく、農業は手間がかかるし、1人ではできない。田畑だけでなく、農道や農水路という附帯する環境もちゃんと整備しなければならない。もう一方で機械化が進み、投資額も増えていくというのが現実ではないだろうか。

我々商業も、農業ほどではないが、売れるかどうかわからない品物を仕入れ、店をつくり、販売スタッフを採用し、商品知識を習得してもらい、接客の仕方を覚えてもらい、頭と体と言葉と心を使って品物を買ってもらう。

ここまでの話で、生産性を上げるってどうしたらいい?

ネットを使って売る、生産者が直接消費者に売る、これが生産性が上がるということなのか?

その結果、農業は農作物を作る人が直接消費者に売る、品物も作った人が直接売る、すると店の販売スタッフはいらなくなる、その人達は何かを作る現場に行かざるを得ない、そこは人件費の安い東南アジアに製造工場が移っている。

国の言う生産性の向上は意外なところにも表れている。

今、当たり前に存在する仕事が、20年後には半分に減ると言われている。

人が効率や生産性の向上と、人件費をいかに抑えて、利益を追求するという経済優先の先に見えるのはなんだろう。

物事には必ず表と裏があり、光と影がある。

それと、『こんなはずではなかった』が、あっちこっちで発生する。

例えば、スマホは便利だ、それを利用した悪質な動画の為に会社が潰れることもある。全ての人間は善の部分と、悪の部分を持っている。利便性の追求が思わぬ方向に行ってしまうこともある。

反対に、不便が実は幸せをもたらし、感動を与えることもある。

だから生産性の向上は不幸をもたらすこともあることを忘れてはならない。働き方改革を大声で叫んでも、100%上手く行くはずはない、家族を守るために必死で働いている人もいる。社員のために必死で会社を守る経営者もいる。何でもかんでもルールを決めて、こうすればこうなるなんて、あるはずない。

スマホが全てを変えた。

ルールを決めても無理、もう歯止めがきかない時代になったのだろうか。