城丸正ブログ

パクる

2022.12.20

サラリーマンでいることが嫌になって、漠然とリサイクルショップを始めた。

地元に真似る店がなく、なんとなく米軍基地を回り始めたのがよかった。そこで出会った人たちから様々な刺激を受けた。

最初は、東京のカッコイイ店や品揃えにあこがれ、パクってみた。次から次へと興味が移り、そのつど店も変わった。スッタフも変わっていった。

一番の衝撃は、代官山のTSUTAYAだった。「本屋」がどうしてこんな事ができるのだろう。カルチャーコンビニエンスクラブは、「本屋」ではなく「企画」会社だった。

ちょうどその頃だったと思うが、「代官山・オトナ・TSUTAYA計画」という本が出版された。今から10年くらい前だった。今でも何度も読み返す本の一冊だ。

当時、バカな自分は新潟に帰ってすぐ、とりあえず目に見えるところから手を入れようと動き出した。「売るだけの店では、人は来店しない」ということは分かっていた。

おもしろいもので、何か動き出すと、人との出会いがある。大工の土田君が仲間になったのもその頃だった。そして、店の内装に手を入れ、空間にもっとお金を使うことで、今までにない暮らしの表現ができると思っていた。時代の空気とずれることもあったりして、思うようにいかないこともあるが、やり続けていくとそれなりになっていくものだ。

もう一つ気付いたのは、目に見えないこと。なぜその場所で店をやるのか、何を大切にしたいのか。人は今、何を求めているのか等々、いろいろ考えるようになった。

「TSUTAYA計画」の本の中で印象的な表現があった。それは、「時代の気分」。これが大きく舵を切ろうとしている。自分勝手な消費の姿勢から、環境に配慮したリサイクルへ・・・という記述。

自分は40年前にリサイクルショップを始めていた。その記述に「今さら」と思ったが、深い考えがあったわけではなく、単に金が無くても始められる商売がそれしかなかっただけのこと。

どうせやるならもっとカッコイイことはどんなことかを常に意識していた。人間は無意識にパクろうとする。真似ることは大切なことだと思ってしまう。だが気付く。真似は真似でしかない。

結局自分でつくるしかないことにも気付く。そこに独自性が生まれてくる。デジタル時代に必要とされる店舗でしかできないこと。自然を味方につけて、そこにしかない「場」の提供と、「時」の過ごし方の提供をすることしか自分達にはないと。

「代官山のTSUTAYA」はあこがれですが、足元にもおよばない。だから、いいんです。