城丸正ブログ

ドラマからヒントをもらう

2018.12.18

『北の国から』というドラマで倉本聰という人を知り、そして私がリサイクルショップを始めた時と重なり、主人公の黒板五郎は正に私自身でもあった。

店もなるべく自分達で直し、粗大ゴミ置場に行ってまだ使える物は直して使ったり、売ったりした。

それから20年位経って、鳥屋野に店を移してから大工の土田君と出会い、彼が内装を手伝うようになり、三年目を向かえた頃、長岡で倉本聰の講演会があると聞き二人で行った。

我々二人は彼のドラマや本を読んでいたので、どうしても会いたかった。

顔や話す声、そして言葉を聞きたかった。

東日本大震災の後の講演だったので、特に彼の『言葉の力』がすごかった。

私はいつも思う。『何を語るか』も大切だが、『誰が語るか』がもっと大切だ。

同じ内容でも、人によって伝わり方が違う。

メールが主流の今だからこそ、『言葉の力』が人を動かすものだと、その時、強く思った。

彼が『ヒトに問う』という本の中で、これまで通り経済優先の便利でリッチな社会を望む道は原発に頼らざるを得ない。その場合、今回同様の、もしかしたらそれ以上の想定外の事故に遭遇する可能性がある。それに対する『覚悟』があるか。

もう一つの道は、今を反省して便利さを捨てて、多少過去へと戻る道。日本は世界での位置を下げてでも今ある便利さを捨てる『覚悟』があるか。どっちの道を選ぶにしても『覚悟』が必要だと書いている。

国のトップが言わない、いや、言えないことを、あえて言う覚悟。バブルが全盛の時に書いたドラマの脚本が『北の国から』だったり、常に世の中の流れに対し本当にそれでいいのかと問題を投げかける姿勢は何とも言えない説得力があると思っている。

小売業は物を売る商売ではあるが、物を仕入れて、ドラマと同じように表現する時代になった。

売れない時代だからこそ、表現者としてファンを増やせるかが大切になってきた。