目先の売上をつかみたい、非常によくわかる。自分もそれが一番だと思っている。
だが、大切なのは売上のためのイベント頼みではなくて、「企画」だろうと考えるようになってだいぶ経つ。正直、イベントは疲れるし、やればやるほど空しくなる気がする。
ネット全盛時代にリアルな店舗の役割は昔と違うのではないか。特に、小売業は結果として売れていく仕組みづくりをしないとなくなってしまう。
まずは立地。なぜその場所を選んだのか、なぜその空間なのか、なぜその商品、なぜその人がそこに立つのか、すべては「企画」であり「たくらむ」こと。これは長期的にやり続ける必要がある。だから、イベントとは違う。
最初は店舗を探した。あそこがいい、いやここがいい、人が集まる、いや集まらないとか、20年以上右往左往して最後に倉庫にたどり着いた。倉庫を店舗にするのは「企画」であり「たくらみ」でもある。しかも時間と金がかかる。「失敗したら死んでください」と銀行から言われた。まあ、「死んだ気になってやれ」ということなんだと勝手に受け止めてスタートした。
おそらく、東京で鳥屋野の倉庫の大きさを借りるのは無理だろう。新潟という地方の街だからこそ可能になった。あえて、人が多く集まる商業立地を避けて、自然の中で時間を過ごしてもらう。
最初は、「あんた何考えているの」と言われた。商売の流れは少しぐらいは気にするが、どんな業界も大きくて力のある企業が流れをつくり、大が小を食っていくだろうが、小さな我々は常にその逆を考えて仕事をするのもありだ。さらに、業界の常識も気にしないこともある。このこと全てが企画ということだと思っている。
手っ取り早くセールをして売上を上げる。これも常識になっている。キャンペーンやお得お得という値引販売。いつ定価で売るのか、そもそも定価なんてないんじゃないか。
キャンペーンをすることで利益が削られ、さらに量を売らなければ利益を保つことができなくなる。そんなの地獄だ。
人口が減って数が売れない時代にプロパーで買ってもらう努力なしで続くはずがない。あえて企画という考えを大切にし、定価で商品が売れる状態をつくり、売り手も買い手も、そして継続という三方良しをつくることが大切だと思う。