新幹線のニュースが多く、便利になるな―と感じる反面、大切な事や物や歴史をなくしていく、どっちが良いかわからない。
世の中には便利や簡単、早くて安くてこんなに幸せになります的な発信が多すぎるような気がする。必ず裏側には(やみ)があり、多くの犠牲の上に成り立っていることはなかなか伝わらない。
職業を決めるときに、あえて時代の流れに逆らう、人の嫌がる事をすすんでやるなどは無に等しい。時代がどんどん進めば進むほど、人間しかできない仕事、若い者が進んでやらなければならない仕事、この人間にしかできない仕事はというと、つくる仕事、売る仕事、運ぶ仕事、奉仕する仕事、体と頭を使う仕事。これらの仕事は気の遠くなるような時間と失敗の数と、そしてお金もかかる。決して新幹線のように早く簡単に目的地には着けない。
我々の鳥屋野店のカーブドッチは料理をつくり、パンをつくり、ホールでは心から精一杯のサービスで食事をしてもらい、ゆっくりとおいしい時間、楽しい時間を過ごしていただく。接客販売の我々も、気持ちよく、ゆっくり過ごしてもらい、私どものスタッフとの会話の中で何か生活のヒントを見つけてもらい、最終的には買物をしたくなるという気分を提供したい。
世の中の流れにあえて乗らない、ましてはスピードを求めない、便利さの先になにがあるのだろう。仕事も人生も手間暇かかるものであるし、そうだからこそ価値を生むことができるかもしれない。小さな会社が続けていくには流れをおかしいと思うことも大事だと思っています。