新潟県の人口が209万人、あっという間に200万人を割るだろう。人口減少なども含めて市場が確実に縮小していくにもかかわらず、巨大な商業施設が新潟駅にできた。
さらに3年後には鳥屋野潟のビッグスワンの近くに「コストコ」がオープンするという。
出店してくる店のほとんどが県外や海外の企業だ。新潟県で発生した「売上金」は「上納金」として県外の本社へ吸い上げられる。それだけではない。地元で働いている人も好条件を餌に引き抜かれてしまうこともある。
町にしても会社にしても、大切なのは「これでいい」ではなく「ここがいい」と思われるにはどうしたらいいかだ。
これがなかなか難しい。
生きていくことの基本は「どこで、だれと、どんなふうに」じゃないのか。
我々の店は何度も移転を繰り返し、新潟市では鳥屋野潟、長岡市では高畑町という場所にたどり着いた。
以前は、店舗拡大によって売上を伸ばそうと単純に考えていたが、自分にはその能力がないと思った。だから、時間とお金をかけてその場所にふさわしい店をじっくり育てていこうと考えるようになった。
そうしたらその店にふさわしい人が働き始め、店の空気感がつくられ、来店するお客さまに伝わっていった。
何度も書いていることだが、今あるものに目を向けて手を入れることで、画一的なものではなくそこにしかない特別な存在になっていく。無理に点と点をつなげて線にしたり面にする必要もない。
町にふさわしい店をつくってその店にふさわしい人が生きていることで自然とエネルギーが発生する。
郊外の大型店はその地域と関係のない大きな資本が外から進出してきたものだ。その対極にあるのが我々のような小さなローカルな店だ。
20年前にカーブドッチレストランが鳥屋野店にオープンした時、当時の社長が放った言葉が忘れられない。
「年中無休は『心意気』だ」
働き方の前に生き方の問題であり、考え方の問題だと思う。
巨大な商業施設の進出は恐竜に例えやすい。餌食となる地元の店がなくなったあとに残るのは恐竜同士の共食いだ。
恐竜サイズなんていらなくて、ヒューマンサイズで十分だと恐竜自身も薄々気付いているんじゃないのか。