城丸正ブログ

もう消費者という言い方をやめよう

2017.09.26

私は35年前、なぜリサイクルショップを始めたのか。最近思い出して、後付けで色々考えてみている。

大量消費・大量販売・バブル、そんな時代、大量に廃棄されていく物の中には、まだ使えそうな物が多くあった。

それを拾い、綺麗にし、直して売ってみたかった。お金もなかった。今風の事業の立ち上げなって言われるようなものではなかった。本能的にその時代が、何かおかしいと思っていた。あらゆる商売が伸びていた。作れば売れる時代に、あえて中古品を売るという逆張り。バカじゃないかとも言われた。

時代が21世紀になり、大きく変わって、新潟にも世界をまたにかけて出店する店、日本中を網羅する店に囲まれて、もっともっとという無限の追求。

私は極端な話をするかもしれません。量を消費することが幸せにつながるだろうか。生活者を”消費者”と呼び、多量の物を安く売ることが当たり前の時代、小さい我々は何を大切に自分の仕事をすれば良いのか。行きつきたいところが、やっぱり”修理”でした。

先日、20年以上前に販売したアメリカの60年代のヴィンテージ家具が、お客様の引っ越しで『使わない、売ってもらいたい』と依頼があり、引き取りをして、直して、磨いて、店頭に展示しました。20点から30点くらいあります。100年までは達していないが、その存在感は素晴らしい。長く使うというテーマ、パタゴニアの副社長が9月15日、日本で講演をした。その内容が、責任ある生き方をしたいという人のために製品を作るのなら、ファッション業界はまだチャンスがある。ただ、守らなければならない事が2つある。1つは、耐久性のある製品でなければならないこと、最高品質のファブリックで、かつ作りもしっかりしたものでなければならない。もう1つは、時間を超えたデザインでなければならないということだ。と言っている。

これは、家具・インテリア業界にも言えることだ。拡大していく低価格の製造小売とは別世界で、環境に人にやさしいという考えを貫いていくことは、言葉では簡単だが、現実的にこれを実行しようとすると大変なことだ。いつまでも量の拡大や、売上げの拡大を最優先に考えていると近い将来その””つけ””は必ず来る。

社員を守りながら環境も守りながら、目の前にある自分の仕事を考えると、はっきりとした方向が見えてくる。

直してでも使い続けたくなる物を販売し、それを所有していただく。