城丸正ブログ

さあ、どっちにする

2025.06.25

最近、ホワイトかブラックどっちですか?という色分けをすることが多くなったと思う。

企業に対してもその傾向がある。でもどっちでもいい。なぜならそんなに単純ではないことが多いからだ。

「ほんとうにホワイトでいいんですか?」みたいな発信もある。

毎月いろいろなことが起こる。それに対して他人事か自分事かという捉え方もある。他人は他人、自分は自分という意識は当然あるとは思うんだけど、なるべくなら自分事として捉えることで違ってくることもある。なぜならそうすることで物事を深く考えるようになるし、自分も同じ状況や立場だったらどう対応しようか考える力を身に着けられるからだ。

長く仕事を続けてきていろいろな悩みにぶつかることがある。そんな時「さあ、どうする、どっちにする」という判断を迫られることが誰にでもあると思う。

例えば14年前、東日本大震災の後、中谷彰宏さんが「なぜあの人は逆境に強いのか」という本を書いていた。彼の本が好きで20冊ぐらい持っている。特にこの時の内容は、最悪な事態が起こると必ず助ける人と助けられる人の2通りに分かれるということだった。助ける側の人は最後まで自分の場所に残って全ての人を助ける。そして、こういう人はどこまでいってもへこまない、どんな事態になってもやる気がわく。逆に助けられる人の側にまわったら、逃げれば逃げるほど人はへこみやすくなってしまう。

これに似た内容を前にも書いたことがあった。ある地方の百貨店が業績不振になり閉店する。その時そこで働いている社員の行動が胸を打った。ある人はすぐ次の就職先を探すために会社を休む。ある人はその職場に残り、これまで支えてくれたお客さまに対する感謝の意を示し、最後の最後まで責任を全うした。その姿に心を奪われた多くの会社の社長から「うちに来てくれ」という声がかかったという。

こんなふうに、道が開ける人には特徴がある。それは、何かを失っても自分の役割が見つかればやる気が湧いてくるということだ。最悪な時に頑張ることで人は成長するそうだ。

思い出すのは大工の土田君だ。彼は東日本大震災の後、仮設住宅の建築工事にボランティアで参加した人間だ。その工事が終わって新潟に戻り、S.H.Sに来て「何か手伝うことないですか」と尋ねてきた。この出会いからもう12年ぐらい経つ。店の内外装工事、あるいはお客様宅のリフォーム等できることはなんでもやる。

自称「建てない大工」としてなくてはならない存在だ。いままで商売を続けてきて、いつも悩んだり、迷ったり、さあどっちだと生きてきた。人との出会いと本との出会い。この本は決して成功するためのビジネス書なんかではない。そして今、理想としては「厳しい会社だけど情がある」という存在になることかなと思い始めている。