城丸正ブログ

お金って

2018.05.28

お金が魅力的に見えるのは、それが人間の欲望をいとも手近に叶えてくれる道具、だがそれだけではない。
お金には人の苦労や忍従や、血や汗が染み付いている。だから人をお金の周りに呼び寄せる。
お金は商品を受け取ったことに対し、相手に渡す。それが人の手から手へ受け渡されていく。
しわくちゃになった一枚のお札をじっと見ると、その紙切れが辿ってきた時間が見えてくる。
軽率に札束に手を出せば怨念に復讐される。
時間は時に、人間に残酷な仕打ちをする。そして同時に忘却という慈悲を与えてくれる。
お金は時に、飢えや寒さをしのぐ慈悲を与える。同時に昨日までの友を敵に変え、愛を憎悪に変える。
この文章、私が今、はまっている平川克美さんの本の一部です。