古町から鳥屋野に移転したいと銀行に話した時、言われた。
自分の中で、なんとなく、これから家具はどんな場所でも売れなくなるだろうと思っていた。
だったら、敢えて人が来ない場所、どう見ても商売に向いていない場所で、これからの家具屋をやってみようと思った。
倉庫を選んだのは、天は高いし、スケールが町の店では表現できない空間だった。今まで、おそらく誰もやったことがないなら、失敗したとしても『やっぱりな』で終わるだろう。
倉庫を店にすることは簡単ではなかった。
まずは大家さん、全く信用してくれない。説得するには半年以上かかった。
次に、様々な規制の存在。一つ一つクリアすることも普通ではなかった。
お金が無く、力が無く、認知度もない。
あるのはやってみたいという気持ちだけ。
働くという意識ではなく、これしかないという生き方。
時間なんて度外視、それでも一緒について来てくれた仲間がいた。
改めて、小さいからこそ、弱いからこそできることがある。ルールやマニュアルや規則を意識したらいつまでも群から抜けることはできないと思っている。
好きで集まった人間達だからこそ、『ダメもと』でやるのもありだということ。
何十年経ってもそこは変わらない。