社員が少なくても多くても、いや少ないほど、その社員がある日突然「辞めたい」と言ってくる瞬間、「なんで!」か「あっそう」のどっちかだ。圧倒的に「なんで!」の方が多い。
世の中の小さな会社の社長さんは、自分も含めて一緒だと思う。だって、あんだけ前向きに、働かせてくださいと言っていたのに、入ってみたらイメージと違ったのか、他にやりたいことができたのか。
俺だって22歳で学校を卒業して32歳でリサイクルショップを始めるまでの10年の間に、6回も職を変えた。今の若い人になんだかんだ言える立場じゃない。今振り返ると、多くの人に迷惑をかけた。
人を採用して、すきなことを、すきになった人と、すきなだけやって食べていければ幸せなんじゃないかとやり続けて来たが、何十年たっても人の問題で悩んでいる。
そうか、半沢直樹ではないが、6回職を変えて、人の期待を裏切った自分に対しての「ツケ」の倍返し、いや100倍返しにあっているのかも知れない。
じゃあ、S.H.Sで10年、20年、30年と働き続けている社員は、どんな理由で続けているのだろう。人それぞれに理由があるのだろう。
この年になっても、悩む時、読む本がある。それは浜口隆則という人が2007年に書いた「戦わない経営」という本で、その中で「人生は与えられた時間のこと、だから人生と時間と命は同じ意味。与えられた時間はそんなに長くない。しかも、それはたった1回きり。たった1回しかない大切な時間の中で最も大きな割合を占めるのは仕事の時間。だから、その仕事がつまらなかったら、人生はかなり楽しくない。生きるための仕事も大切。でも、もっともっと一生懸命に仕事をしたら、もっと自分らしくなれる。」とあった。
「これがだめならあれ、あれもだめならこれ」という選択ではなく、仕事や働くこと、あるいは会社を経営することは、人が幸せになるため最初はつらい事が多い。でも、仕事が遊びに変わる時がくる。そこまでやってみればいい。そこにかかる時間はどれくらいかかるかは誰にもわからない。近い将来、ここで働きたいという若者に出会うだろう。なんとなく、そのくり返しが、生きることなのかも知れない。