私の仕事のスタートは、リサイクルショップだった。直して、欲しい人に売る。お金がなかったから拾うことも多かった。35年前のことだけど、昨日のような気もする。バブルの真っ只中だった。それぐらい世の中の動きと真逆な生き方をしていた。つらかったが、面白かった。次から次へ新しい物を買い求め、高度成長と言われ、今から思うと異常だったと思う。
そんな私がいつの間にか『拡大』だの、『成長』だのと、世の中の流れを追うようになり、大きな失敗を重ね、今人間の幸福は物的満足ではなく、『もうこのくらいで十分じゃないの』『日本人が作ったものを大切に使っていく』『グローバルなんてどうでもいい』くらいのところまで来ているのじゃないか。ある程度の経済水準に達したし、衣食住も足りているし。しかも輸入される食糧の30%に当たる量が廃棄されている。衣服にしても、いくらでも国内で生産できるのに中国で作って、もっと安く手に入れる。安く手に入れた物だからすぐ捨てる。
本当は衣食住は十二分に足りて、一定の経済水準をはるかに超えているにもかかわらず、まだ満足しない。今度はより安く、より早く、より便利にという欲望。
それに応えるために働き、競争に駆り立てられる。
知らず知らず、ある種の歪を生み出しているように思う。
もう一度、直せるものは直して使う。直してみたくなるような物を買って大切に使う。そうすると、本当にいいものがわかるかもしれない。
・100円ショップを否定はしない ・自由主義の国だから
・ニトリを否定しない ・平和な国だから
・ユニクロを否定しない ・なんでもあっても良いと思う
・使い捨て文化を否定しない。選ぶのは自分だから
ものづくり日本は二度と戻らない。メイドインジャパンを買わない日本人だから?