松浦弥太郎さんの「あたらしいあたりまえ」という本の内容だ。
いやになった職場、ちょっとしたいさかいで波風が立ってしまった友人や恋人と縁を切って新たな人間関係を築きたいと願う人は多いと思う。でも、彼は拒否するそうだ。
例えば、三日三晩考え抜いて「仕事を辞めます」と言ってきても「だめです、あきらめてください」と言うそうだ。
自分も20年ぐらい前、色々な失敗を繰り返して辞表を出したスタッフがいた。でも受け取らなかった。なんとなく、こいつは辞めてほしくないと思った。理屈ではない。
「辞めたいです」「はい、わかりました」で終わるくらいなら、今まで過ごした時間は何だったんだ。もう一度少しずつ何とかしていくことこそ人との付き合いの基本だと思ったときだった。
でもほとんど、「辞めたい?あ、そう!」で終わってきた。
今、転職が当たり前、自分ならもっといい条件で雇ってくれるところがあるはずだ、人手不足だし、売手市場だし・・・という空気感が漂っている。これも「あたらしいあたりまえ」なのか?
アイドル一筋でやってきたキムタクがCMで転職をあおっているんだから面白い状況だ。
どんなに時代が変わっても働き方に改革などあるわけがない。一緒に誰かと働くことは一緒に生きることだろう。そして、いろいろな人との面倒な関わり合いの中に嫌なことも宝物もひそんでいる。
何でもそうだけど、一つの方向に一気に進もうとしている時こそ、その流れを一旦疑ってみるのもありだ。
あの時辞表受取りを拒否された彼は、今、誰からも頼りにされる大切な存在になっている。小さな会社ではあるけれど、大切なのは働く仲間との強いつながりと、長く長く続けることしかない。
昔からのお客さんに「よーく続けてきたね」と言われることが最高の喜びであり、働く仲間のおかげです。