「セレモニー(結婚式)は2時間、ハネムーン(新婚旅行)は2週間、そのあとの生活はずーっと」という文章は心に刺さった。
今から30年ぐらい前にやっと取引をしてくださったアクタスという会社が、ブライダルを意識している人へ向けたメッセージだった。
「婚礼家具、セットで買ったら何割引きにします、お得ですよ!!」という宣伝文句が当たり前だった時代に、わかりやすく「幸せ」「暮らし」「これからの生活」を訴える会社なんて他にはないと思った。
さらに「婚姻届に書くためのペンを1本、記念として瓶に入れて飾っておくのはどうですか」という提案が続いた。さらにギフト提案は「気持かたち」というあまり意識しなかった表現をしたり、そして自分なりに最高に思えたのは「時と場」の提案という考え方だった。
いかに売上をつくるかではなく、人の気持ちを動かすには何を考え、どう動き、そしてどう表現するかを教えてもらった気がする。
その後自分は自分なりに、一緒に働く仲間に対して「ひろう、もらう、かりる」だとか「まち、みせ、ひと」とか「今あるものに目を向けて手を入れる」とか耳に「たこ」ができるぐらい言い続けてきた。一番は「時と場の提案」につきる。
売上というお金と同じぐらい大切なのが、人の気持ちをどう動かすか、そしてどう店に足を運んでもらうか。
買い物だけが目的ではなく、あそこで過ごしてみたい、店で過ごしていると時間を忘れてしまうとか、カップルは結婚してみたくなったり、大切な人に料理をつくりたくなったりする空気が流れることが必要ではないだろうか。
今まで出会ってきた人から様々なことを教えてもらった。いつも感じているのは、流れに対して本当にこれでいいのかということでもあった。
正しいとか誤っているとかではなく、「自分達にとって大切なのはこれだと思います。」を目に見えるカタチで表現する仕事だとも思っています。
やっぱ、時と場の提案なんです。