この本を読み返している。1ページ目に寺山修司の「100年たったら帰っておいで。100年たてばその意味がわかる」という戯曲の一節がある。
昭和が始まってから今年でちょうど100年とも言われている。なんとなくではあるが、欧米化やグローバル化という流れに対し、いまいちど日本らしさが見直されているのではないか。
日本には100年以上存続している会社が10万社。5千年の歴史をもつ中国は1,000社、おとなりの韓国は5社しかないという。
日本人が何を大切にするか、目先の利益なのか、一瞬の繁栄なのか、「どうせなら100年かけて勝負しようじゃないか」。2007年9月、泉谷渉さんの本、大切な一冊です。
昭和の時代、特に終戦直後の日本人は貧しかった。だからこそ団結できた。全員が一つになって闘うことで危機を乗り越えた。今の貧しさとはわけが違う。
100年企業存続は、終身雇用という日本的な慣行が無ければ可能ではなかった。でも今は、終身雇用そのものを古臭いものとして捉えている。
転職をスキルアップだとかなんとか言ってより良い条件を求めて動く。その先に何があるのか。
会社に対する愛情、働く仲間との特別な繋がりなどが薄くなってきた。そんな人間が集まる会社が顧客との親密な関係を築けるわけがなかろう。
正社員比率は下がり、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、タイミーが増えた。
コスパ、タイパ、生産性だけを重視する考え方では人の気持ちは動かないのではないだろうか。
我々をとりまくグローバル化の波はさらに加速するかもしれないが、会社存続と従業員の幸せを守るためにもう一度日本的な文化を見つめ直してみるのもありではないだろうか。
ジジイの言うことだから、聞く耳を持たないかもしれないがヒントは過去にあるのさ。