努力しても努力しても、思い通りにならないことが多かった。諦めたこともある。
商売を始めて40年が終ろうとしている。あっという間だった。何度も、もうダメだ、やめようと思ったが、続けてきた。失敗の連続だったから、ちょっと思いが叶ったりすると、すぐに調子こいて新車のドイツ車に乗ってしまったこともある。そんな時、一緒に働く仲間から教えてもらうことがあった。スタッフの顔色と雰囲気から、やってはいけない事をやってしまったと。
すぐに2tトラックに変えた。調子に乗るバカな自分は簡単に努力が報われなくて良かった。なぜなら、思い通りの結果になるまでにものすごく時間がかかるし、あっという間に坂道を転げ落ちていくことも多いという経験をしてきてこれたからだ。もっと大切なのは、本当のファンの厳しい言葉だった。「あんた調子こいていると後で痛い思いするよ。頑張りな!」
最近は、「あんた今いくつ?70過ぎたのか、奇跡だね。跡継ぎはいるの?」「います」と答えると、「幸せだね」と言われる。
気が付くと、先輩だった町の家具屋はどんどん姿を消してしまい、全国を股にかけて出店してくるチェーン店がそれに代わっていった。
当たり前に、日本で作って、作る人の生活を支えて、もっと品質のいいものを世の中へ。それを買って長く使い続けていく。どこの家でもメイドインジャパンが普通の時代があった。もう戻れないかも知れないが。
「あんた、このまんま行くと、作る人、売る人、運ぶ人、時間をかけて技術を習得して人に喜んでもらう仕事がなくなるぜ」になるかもな。