城丸正ブログ

40年を振り返って その4

2022.03.30

人は調子に乗る動物、自分もまさにその通り、結果として失敗する。新潟そして長岡、さらに県央の三条と店舗を広げた。だが、三条店は6年半で店を閉めた。単純でバカな拡大思考だった。

三条店は国道に面したロードサイド、交通量も多く、わかりやすく、入りやすい、しかも出やすい好立地だったが、営業をスタートしてすぐに「ピン」とこない。

出店した動きが普通すぎた。店を作ってあとは売るだけ、小売業としての当たり前をやってしまう。売上が思うように上がらないとセールやキャンペーンをやる。値引販売でなんとかしようと考えてしまった。こんな連続を続けてもその先に何があるのか、そんな考えが強くなって閉店してしまった。

それと、もう一つの理由は、スタッフの人数が増えて自分の能力では思うようにいかない、そんな自分自身の挫折感もあった。その結果、銀行、取引先のメーカー、そして一番大切なお客様から「どうしたの」「だいじょうぶ」つぶれるかも知れないみたいな空気がひしひしと感じられた。この時、信用は一瞬でなくなってしまうといういい経験になった。改めて、簡単に店を開くものではないということを思い知った。そこで、もう一度、今あるものに目を向けて手を入れるという考えが強くなり、長岡の高畑にある廃業した割烹旅館に時間とお金を今まで以上に使い、他にはないねと言われる場所をつくり続けようと、今に至る。

自分達らしい世界を、どんなに時間がかかってもやり続ける。「再生」という、再び命を吹き込んで生かす、これほどおもしろい仕事は他にはないと思い込んで打ち込んでもいいじゃないか。

「お前達!」一緒にやろうと何度も叫んだが、去っていく人間の方が多かった。だが、残って10年、20年と一緒に頑張っているスタッフもいるし、新たに仲間になりたいと入社するスタッフもいる。様々な体験をしながら、気が付いたら40年たっていた。これからは店だけでなく、店をとりまく環境を味方にして地域全体を、行きたい場所、過ごしたい場所、会いたい人がそこで仕事を通じて生きている、働いている、だから足を運ぶ。いついっても気分がいいという場所を作る、そして、ついつい買い物をしたくなる、食事をしたくなる、結婚したくなる。

「あんな場所」を「こんな場所」に再生することが、本当は「地球にやさしく」という一番大切な仕事になっていくのではないか、時代とともに変化するスピードが速い、様々なモノの淘汰も速い、だからこそ何のためにこの仕事をするのか。そのなかで、自分ができることを行動に移していく姿勢が求められる。気を抜いたら明日がない。

だから、たまに「バカヤロー!」と叫ぶこともある。