『ファスト』という流れは、ファッション・フード・インテリアと、あらゆる業種で当たり前になった。
一つのスタイスにもなった。
その結果、安く大量に生産できるという理由で、技術を持つ国内の産地や工場を置き去りにして中国やアジアへの工場移転を進め、高い技術力のある国内の縫製工場や家具工場はどうなった。かなり影響を受けたと思う。
何かが主流になると、その裏側で苦しみや犠牲が生まれる。しょうがないのだろう、ずーっと安価な労働力で大量に生産し大量に売る、そして大きくなるというビジネスモデルも、最近『SDGs』とかで持続可能性や環境を意識しない仕事は受け入れられないという流れが強くなってきた。
だが、生活者からすれば収入が増えない現状で、こんなに安くモノが手に入るのはありがたいし助かる。将来のことより目の前の生活が大切という気持ちも理解できる。
『モノ』であれば壊れたら直さず捨てる、直すより買った方が安いという使い捨てという行為が次の消費につながる、そして経済が動く。
『物を大切に使って、長く使う、直してでも長く使う』
だって高価だったからね。
これをやられたら物が売れない、結果として経済成長しなくなるのでは、じゃあどうする?
どうすれば皆が幸せな生活を送ることができるのだろう。
わからなくなる。
だからITとかデジタルという分野がこれから成長すると言われているのか。
もう一つ、なるほどという記事があった。
良かれと思っていらなくなった古着を途上国に送る、その善意が現地の産業を破壊した。という内容だ。
先進国からウガンダに届いた古着の山が、『かつては繊維産業が盛んだったが、古着が輸入されてから衰退してしまった』という現地の仕立て職人の言葉、原貴人さんという方のツィートを取り上げていた。
彼は『私達の寄付は本当に役にやっているのか?終着点を知らない人が多すぎる』と指摘している。
『物を作る以上、処分としっかり向き合う必要がある』
不要になったからと言って、他者に委ねることは持続可能な取り組みかどうか、考え直すべきだ。
物を作る、物を売る、物を使う、そして最後は破棄する。
『ファスト』であろうがなかろうが、人間のやることは幸せになろうとしているが、不幸もつくりだしている。
むずかしい。