S.H.S長岡店の向かいにある、三九(さんきゅう)荘という廃業した古い旅館を再生しようと動き始めて、あっという間に1年経った。
なぜそんな気持ちになったのか、居ても立っても居られない、ある種、病気です。
15年前、今のS.H.S長岡店を再生しようと動き始めた時は、その三九荘は営業はしていなかったが人は住んでいたようだった。それから人の気配がなくなり、草・木も伸び放題、どんどん朽ちていく、このまま放置してその先どうなるのだろう。『俺だったら、こうするけど…』という妄想が強くなり、その第一歩を踏み出したが、思った以上に時間とお金がかかる。
高畑に移って一番嬉しかったのは、『よそ者』である我々に地元の人達が、特に当時の町内会長さんが『困ったことがあったらいつでも言ってきなよ』だった。
好意的な周りの人達の空気だった。それは今も変わりない。
商売として立地、あるいは損か得か、儲かるかどうかという考え方が優先するが、それ以上に歴史的価値があるかどうかは別として、廃墟と化した暗くて汚く荒れ放題で近寄りがたい場所、しかも子供達の通学路だった所が、明るくなっただけでものすごく喜んでもらえた。
店はどこに出店するのも自由だけど、私は起業ではなく『商い』をする以上、儲けることも大事だが、喜んでもらう人がいなかったら意味がない。
その時やっと気づいた。
そこから地元長岡の不動産屋の社長との出会い、そこからの紹介で土木会社、それに若い板金屋さん、この人はヤンキーの虎と私は呼んでいる。それともう一つ、ゴミを処分してくれたらその土地を使っていいよという流れ、これも不動産屋の社長が動いてくれた。人が動くのは決してお金だけの問題ではない。だからありがたいわけです。
今、『起業』『創業』そして『ビジネス』という言い方で、アメリカのビジネスを目標として何かをやろうとする空気が強いが、人口が減って経済成長しない時代に、生きていくために『商い』は今まで以上に地域にとってなくてはならない存在を目指す必要がある。
合言葉は『ありがとね』だと思う。
そして、明るくなって良かったて、頑張れね、応援するね、田舎の商いの目標はそれでいい。