お客様が少ない毎日が続く。
そんな時、20年以上前のアクタスのスタイルブックとの出会いを思い出す。
菜の花畑の真ん中に一脚のガーデンチェアが写っているシーンがあった。3,900円くらいだったと思う。こんな表現で訴える企業にすごく興味を持ったのと同時に、ダメもとで仕入れさせてもらいたいとお願いした。それからの取引で今に至る。
2000年に発売されたアクタススタイルブックの№5の中で、『ベッドの中で考えた』という見開きのページがある。その内容は、人知れず、すごくいい事があった日の夜はフトンの中で1人にやけてしまう。一人で抱えきれない不安な夜、フトンの中で懸命に耐える。『人生の3分の1は眠りの時間』睡眠の重要さが少し強迫交じりに語られるが、問題は時間ではなく、その質。
雑誌の特集でよく『ぐっすり眠れる方法』というのを見る。例えば、相性のいいベッドを選ぶ、軽い運動をする、少しお酒を飲んでみる、アロマテラピー、マッサージ等々、みんな間違ってはいないと思うけど、『楽しみな明日がある事』が一番だと思う。『楽しみな明日のために、ぐっすりと眠れば不思議にパチッと目が覚める。この幸福な繰り返しが生活の理想。つまり3分の1の時間も3分の2の時間も共に重要なわけで・・・。いずれにしても、まだ経験したことのない新しい一日はやってくるのだ。』というコピー。
我々の接客販売という仕事は、もちろん販売に繋がらなければ意味がないが、接客したお客様が何かに気付いてもらったり、喜んでもらったり、このスタッフに出会って本当に良かったと思ってもらい、その結果、ここで買い物をして帰ろうと強く感じてもらう仕事なんだということ。
この20年前のスタイルブックのベッドの紹介は、ベッドという商品の紹介や寝具やまくらの効能をこれでもかこれでもかと訴えていない。眠りに対する考え方や幸せな生活の提案をしている。これが私達の仕事だということをスタイルブックは教えてくれている。商品知識だけではなく、思いをかたちにしたり、自分の言葉でお客様の心を動かすことだったり、何を伝えたら喜んでもらえるかが大切だということ。
それにしても、新しいスタイルブックはいつ発売されるのだろう。そこにはその企業の『らしさ』と『想い』があるはず。そして色々な人に影響を与えると思う。
私はこのスタイルブックに出会ったことで、その後の家具・インテリアの仕事に対し大きく変わった。感謝している。
そして早くコロナウイルスが終息して普通の生活に戻りたいし、欲張った生き方を反省もしている。