『近江商人の哲学』山本昌仁さんが書いた本です。
和菓子屋『たねや』の経営者、不便なはずの『ラコリーナ近江八幡』に年間300万人近くが訪れる菓子屋。
今、家具屋・めし屋・服屋・菓子屋・その他、色々の何屋がどんどん減っていく時代に、この菓子屋は想像を超えている。1ページから最後のページまで心に刺さる。
中でも移り変わりが激しい場所よりも、ずーっと変わらない場所の方が継続した商いができる。
次の世代、さらに次の世代へとつながる土地に店を構える。店舗を単にものを売る場所ではなく、お客様に感動を与える場所、さびれた変わらない場所をあえて選ぶ、商売を引き継ぐだけでなく、町を引き継ぐという記述、失礼とは思うが自分も店の場所を選ぶにあたって、新潟という町は一言でどういう町、新潟らしさって何、みたいなことを考えてきた。
その結果、港町であり、川があり、沼がある、私は沼の近くに店を作った。
商店街でも商売をやってみた。その商店街は年々人を集めるためにイベントを打つ回数が増え、聞こえてくる声としては、店で買い物をするお客様はほとんどいなく、お祭り騒ぎで終わってしまうという。イベントの歴史ではなく、あくまでも商店街は商いが継続しなかったら町は存続しない。
改めて『ラコリーナ近江八幡』の足元にも及ばないが、年間来店客数、カーヴドッチ巻は30~40万人、江口だんご25万人、凄いと思う。S.H.S鳥屋野はまだ13万人、長岡店は6万人、上には上が存在する。ちなみに佐渡観光客は50万人を切っているそうです。
私は原点である店そのものの魅力で人を呼ぶ、これに徹していくしかない。
人口が減っていく地方都市で、これを止めることができないのであれば、100マイル先からでも店に来てもらうには何が大切か、イベントではないはず。周りの環境、店の空間、商品・サービス、そこで生きている人、全てが他とは違うと思っていただく努力を重ねるしかない。
ブックス長谷川さんのセレクトは私にとってありがたい。
本を読む、そして書く、そして話す、また考える、やってみる、失敗する、そしてまた読む。
人が生まれて死ぬまでのルーティーンではないか。
本の出会いは人生までが変わる、大げさか、読まない人間にはわからない。そして会いに行きたくなる。
あなたには今、会いたい人はいますか?
読みたい本ありますか?
行ってみたい場所ありますか?
聞きたい音楽ありますか?
打ち込みたい仕事ありますか?